顕微鏡観察シリーズ|ベニイロミズケムシ(Blepharisma)


(2018.8.2)

【ベニイロミズケムシとは】

ベニイロミズケムシは繊毛虫、ゾウリムシの仲間に分類されています。からだ全体が細かい繊毛に覆われそれを動かすことにより泳いでいます。

【ベニイロミズケムシとゾウリムシ:大きさと色】

多くの図鑑等でゾウリムシ(Paramecium cauditum)が150~300ミクロンとされているのに対してベニイロミズケムシは150~500ミクロン。培養している容器を見ただけでベニイロミズケムシの方が大きいという印象です。
ベニイロと名付けられるだけあって茶褐色をしているのですが、個体によってべに色の濃さが異なったり培養条件によっては色味が抜けていくようです。

【教材としての比較:動きと構造】

動きの速さ(=単位時間当たりに体長の何倍の距離を移動するか)で比べるとゾウリムシの方が速く観察は困難です。それに対してベニイロミズケムシの方が遅いため追いかけやすく、サイズも大きいので繊毛運動の観察も容易です
ただし収縮胞がないなど1つの細胞の中にいろいろな構造をもつという単細胞生物の説明にはやや分が悪いかもしれません。
餌を取り込む仕組みについては未確認なのですが、何度かからだの先端から塊を放出する様子を観察しました。これが排泄なのか体調不良なのかは今後の観察課題とします。

【暗視野で見える美しいピンク色】

肉眼で粒として見ると赤いのですが、上の写真のように明視野観察すると紅色という印象は薄れます。それでも中には極端に赤っぽいものもいるので、それを探して暗視野観察すると「ピンクゾウリムシ(?)」が見られます。