ノロはミジンコ図鑑にも載っており「ミジンコの仲間」とされています。ただミジンコやタマミジンコなどの多くが枝角上目であるのに対してノロはノロ上目とされているので少し遠い親戚という感じでしょうか。
ノロは飼育困難とも言われており私も自力で採集したことはないのですがサンプルをいただく機会がありました。そこで形態から見たノロをちょっとだけ紹介します。
【ノロは透明忍者】
ミジンコ図鑑(共立出版)で7.0〜18mmとされているようにノロはミジンコの仲間としては最大級のサイズです。
では大きければ見つけやすいかと言えばそうではありません。多くのミジンコは小型でも白っぽい点として認識できるのですがノロは違います。透明度が高くペンライトの角度を変えながら探してようやく見つかるくらいです。それも第二触角を激しく動かしていればのこと。じっとしていたらほとんど分かりません。
これも捕食者から見つかりにくくするためのものなのでしょう。
【餌が違う:ノロ・肉食 vs ミジンコ・菜食】
ミジンコの餌は小さな植物プランクトンです。これを胸脚の櫛のようなところで漉し集めて食べています。
これに対してノロが餌としているのは小型のミジンコなどですが丸呑みにしたりかじることはなく体液を吸っているとのことです。せっかく透明な身体をしていても餌が目立っては魚などに見つかってしまうからでしょう。でも吸うための口がよくわかりません…。
【構造の違い:ノロ・肢 vs ミジンコ・胸脚】
餌の違いは身体の構造の違いとしてみられます。ミジンコは胸部に植物プランクトンなどの小さな餌を集めるための胸脚やこれを掃除するための尾爪がありますが、ノロにはありません。
代わりに餌を抑えるための5対の脚があります。これらの脚で餌を押さえたまま摂食を行います。餌を食べ終えると、顎と殻刺でその残骸を掃除します
【体内で子供が孵るのは共通】
ミジンコの話をする時に特徴とすることの1つが体内で子供を孵すこと。背中の育房に卵を産みここで親と同じ形の幼体になるまで育てます。
これはノロも同様です。これまで顕微鏡下で観察したのは30個体未満ですが子持ち個体は1つだけでした。残念ながら出産までは追えませんでした。