顕微鏡観察シリーズ|ミジンコ飼育のための餌作り

suisou1顕微鏡観察でミジンコは人気者! 肉眼でもよく見ると2本のヒゲのようなものを動かしているくらいは分かりますが、細かい構造は分からない。でも顕微鏡でみると心臓は激しく動いているし、目をクリクリ動かしているし、腸の中では口の近くは緑色なのがお尻の近くでは茶色くなって消化の過程が透けて見える。まさしく「命が見える」対象です。
でも突然のリクエストに答えるためにミジンコの維持するのは意外にたいへん。そこで問題になるのが餌の確保です。

【水槽1つで餌作り】

4797350869_m私のミジンコ師匠・坂田明さんのご自宅には大きな壷or瓶(直径1メートル?)がいくつも置いてあり安定した環境ができあがっているので季節の変動はあるにせよいつでもミジンコが見られます。
しかし狭い我が仕事場ではそれは無理。そこで教わったのが坂田さん本人も始めていた餌作り法。元ネタはミジンコ学者と言えばこの人という花里孝幸先生の著書にありました。

【水槽に魚を入れると植物プランクトンが増える】

写真の2つの水槽は元のなか身はほぼ同じで田んぼの土と水草を入れてたものです。ただ違うのは左の水槽にはメダカを5匹入れたこと。
右の水槽ではもっとも優位にいるのは動物プランクトン。彼らは植物プランクトンを餌として食べ続けてしまうので水の濁りはほとんどありません。
そこにメダカを入れるとメダカは動物プランクトンを餌として食べますが植物プランクトンはそれほど食べません。そのため植物プランクトンが増殖して水が緑色に濁るようになるのです。

【ミジンコが増殖し始めました】

これまでも坂田さんからアミメネコゼミジンコ、タイリクミジンコ、オカメミジンコなどを分けていただいたのですが、田んぼの土と水草を入れただけではなかなか安定せず失敗を繰り返していました。
現に5月にいただいたアミメネコゼミジンコは絶滅、タイリクとオカメも10匹以下と瀕死の状態だったのですが、この餌を与えることにより2種類は持ち直しました。
この写真は観察会用に集めたタイリクミジンコ。飼育用のボトルから大きなものだけを集めたのですがすでに子供も生んでいます。
餌は一度にたくさん与えないで、やや濁ったくらいの状態をキープした方がよいとのこと。次の課題は餌やりの頻度をどこまで下げられるかを探ることです。

【注意点】(2018.2.13 補足)

以前、この方法で飼育していてちょっとしたトラブルがありました。それはカイミジンコの混入。屋外に置いたままの水槽のためか何らかの理由でまぎれ込んだようです。
急いで一匹一匹を分離して飼育し直しましたが、単に定期的に餌を与えるだけでなく時々は様子を見ることが必要ですね。
ということで植物プランクトンの純粋培養のテストを開始。上手くいったら別ページでご紹介します。