ミクロ・マクロ映像ご覧いただくと「何倍ですか?」と聞かれることが多々あるのですが、これがなかなか困った質問でたいていはすぐにお答えすることができません。
どう表示するかで「倍率」は変わってくるからです。
【同じ映像でもモニターの大きさで変わるもの】
例えば長さが1センチの被写体を撮影したとします。この映像を10インチのモニターに映した時に10センチの大きさになっていれば「10倍」と言うとこができます。しかし、同じ映像を20インチのモニターに映せばこの被写体は20センチになるはずで、これは「20倍」と言わなければなりません。
したがってモニターサイズを指定しない状態で映像に記録された対象の「倍率」を訊くというのは全くもって意味不明の質問となる訳です。
【画像をプリントしたら?】
顕微鏡写真をデモ用に絵はがきとして印刷することがあります。これなら倍率で表現することが可能です。
では「このミジンコは何倍ですか?」と訊かれて即答できるかというと、たいていのものは答えられません。理由は簡単、面倒だから計算していないのです。
【どう表現するか?:大きさを示す時にはスケールを入れる】
要は被写体の大きさが分かればよいはず。「ミジンコ(Daphnia pulex)」だったら「体長約2ミリ」と言えばいいのです。
画面内に被写体のサイズを示す必要があるならスケールを入れるのが適当と考えています。
ただしメイン顕微鏡であるAxioplanでは「カメラ・対物レンズ・撮影用接眼レンズ」の組み合わせごとに対物ミクロメーターを撮影してありますが、マクロシステムによる撮影では倍率が撮影ごとに変わるので、1カット撮影するたびにスケールも撮影しなければなりません。これは結構面倒な作業です。
以上、拡大映像に対して安易に「倍率」という言葉を使わぬよう気を付けられるとよろしいかと思います。