弊社では数台の顕微鏡を所有していますがメインはAxioplan(CarlZeiss社製)です。Carl Zeiss社の無限遠光学系の顕微鏡としては1973年のAxiomatに続く第2弾として1986年から 2004年まで販売されました。2020年現在でもノーベル賞級の多くの研究者が使用している世界最高級の万能顕微鏡で、透過光でも反射光でも使うことができます。
販売当初のAxioplanの価格はかなりのものでとても定価では買えません。そこで中古品を探して2台を購入し良い部品を選んで1台に組み直し、さらに中古部品を買い足し、カメラアダプタを工作して観察・撮影に使っています。(2020.5.11〜2024.6.3改)
【対物レンズ:Plan-Neofluarがメイン】
観察法を変える時はレンズを付け替えるのではなくレボルバーごと取り替えます。右が通常使用で明視野、暗視野、微分干渉に使いますが何本かのレンズはApochromatに付け替えました。普段はPlan-Neofluarの2.5倍から40倍を付けていますが高倍率の観察では63倍APOCHROMATや100倍Plan-Neofluarに付け替えます。
左は落射用のセットでEpiplan-Neofluarの5倍から100倍。
上は位相差セットでPlan-Neofluarの10倍から100倍を付けています。
【接眼レンズ:視野数25】
ツァイスの顕微鏡をはじめて覗いた時に感じたのは「明るい世界が広がっている」ということ。明るさはランプによるものですが広がりは接眼レンズの視野数に依存します。
接眼レンズでもっとも大切なのは対物レンズが作った像をきちんと拡大ことで視野はただ広ければいいとも言えないのですが、美しく感じることが悪いはずなし。何とも言えない魅力があります。
【コンデンサーのNAは0.9】
コンデンサーは明視野、暗視野、位相差、微分干渉に対応しています。ただ使う対物レンズのNAは大きなものもあるのですがフロントレンズのNAは0.9です。他社はターレット型でも1.25くらいはあるところで大丈夫なんでしょうか…。
逆にハネノケ機能もあることに不安も感じるのですがそのあたりはツァイスの工作精度も含めた自信なのでしょう。それなりの評判を得ています。
【オプトバールモジュールで倍率微調整】
顕微鏡の対物レンズはだいたい1倍に始まり2または2.5倍、4または5倍、10倍、20倍、40倍…100倍とほぼ倍々になっています。
写真はトリミングが前提ですが、動画でサイズ調整のためにトリミングすると画質は低下するので中間サイズも欲しいところ。
それをカバーしてくれるのがオプトバールモジュールで1.25、1.6、2、2.5倍の結像レンズが組み込まれています。4倍ズームという製品もあるのですが一般的に単玉の方が画質は上。それ以前に100万円もしたのでは手が出せません。
【カメラアダプタは自作】
Axioplanに限りませんが、カメラメーカーの提供するアダプタはフルサイズセンサーを前庭としたものが多く中間レンズによって観察視野の一部分を切り出されることになりがちです。
私はマイクロフォーサーズのカメラを選択したことで中間像をそのまま利用しています。アダプタは工作屋さんに発注して作ってもらいましたが、これからの時代は3Dプリンターですかね。
【XYステージ】
複数の顕微鏡でいくつかのステージを使ってきましたが、このステージが一番のお気に入りです。プランクトンなどを追いかけるときのXYハンドルの滑らかさが私に合っているからです。
とはいえ私はXYステージを新品で買ったことがないので他社製品との正式な比較ではありませんが。
このステージについているクランプはスライドガラスを2枚固定できるので奥に対物ミクロメーターを入れておき大きさを記録したい時には同じ条件でこれを撮影します。オプトバールモジュールを使っているからこそ必要な作業です。
プレパラートを外した時はちょっと動かすだけで埃除けにもなります。
【これぞ万能型】
AxioPlanはランプハウスの取り付け場所がもう1つあります。これは金属顕微鏡として使う時のものです。有限光学系では鏡筒長が変わりますが無限遠光学系ではこのあたりの自由度があります。生きもの観察がメインの私はめったに使わないのですが。