顕微鏡撮影と機材|オリジナル顕微鏡⑤ キメラスコープ五号機で新機能追加

(2016.11.14)

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四号機に改良を加えてさらにこなれてきたキメラスコープ。日常使用のために作ったものですが、小学生を対象としたイベントなどでも喜ばれるだけでなく顕微鏡に興味のある大人がいれば飲み屋に持ち込んで楽しんでもらう機会も増えてきました。
ある程度の知識をもっている人から質問を受けることも増えてきて、先日はこれなら欲しいという方にストックから一台を提供。さらに本気で顕微鏡の購入を考えている方にも遭遇。そこで四号機のページ以降、少しずつ改良してきた五号機の内容をご紹介します。

【ベースとなる鏡体の選択・オリンパスHS】

五号機もベースはオリンパスのHSを選択しました。私にとっては持ち歩きに便利な専用ケースが最大の選択理由ですが、使い慣れるとちょっとした機能を足そうとした時にも工夫し易くなるものです。もちろん優先する内容によっては他社の製品(ELISA、MIZARなど)にメリットがあるケースは多々あります。

【暗視野機能を追加】

20161004d四号機以降、最大の工作テーマは暗視野コンデンサーの工作。ミジンコを黒バックに浮かび上がるように見せたいし、ミクロワールドサービスさんの珪藻プレパラートを紹介するためにも是非とも欲しい機能です。
手間隙掛けないことが重要と言いながらも意外に時間はかかり、その割にはなかなか納得するものができませんでしたが結果として落ち着いたのがこれ。何のことはない、ペットボトルのフタが顕微鏡のステージ裏側の穴にピッタリ合うのでこれをアダプターとして活用、切り出したペットボトルの口の先端に百均のLEDライトのレンズを貼り付けて黒紙を貼ったものを差し込むだけ。それでもこの顕微鏡のメインと考えている4、10、20倍なら暗視野風の観察ができるようになりました。

20161004c実は4、10倍との相性はイマイチで改良の余地はあるのですが20倍で見るとまずまずです。
そのサンプル写真がこれ。コリメート法で安直に撮影したものにフォトショップのフィルター(自動トーン補正のみ)をかけたものですがまずまずと納得。
もちろん実際に覗くと奥行きの広がりが全く違います!
簡単にできることをやるのがキメラスコープ。40倍はあきらめて、時間ができたら4、10倍対策のアイデアをテストする予定です。
これ以上の結果を求めるならお金を出してキチンとしたものを買えば良いかなと。私はAXIOPLANを使えば済む話しですし…。

【メカニカルステージを交換】

20161014eXYの移動はN社製(もちろん中古)のメカニカルステージの入手でかなりスムーズになりました。これまでいくつか買ってみましたがなかなか良いものが見つかりませんね。
ちなみにキチンと動く純正品は1万円以上するそうです。ネットで怪しい中古品を購入して試してみましたが、なかなか良いものには出会いません。顕微鏡の総額を考えるとここにお金をかけ過ぎるとキメラスコープ本来の意味合いが薄れそうな気もします。

先日はネットで安価なものを購入しましたが工作精度が悪いのか(規格であるはずなのに?)ガイドピンの位置が微妙に違って規格品に取り付けることができませんでした。仕方がないので元々穴があいていないSTのステージにドリルで穴を開けネジを切って使えるようにしました。(前に別のメカニカルステージ用に開けた穴がカッコ悪いですが、取り付ければ隠れてしまうので良しとしましょう)

【その他の微修正】

20161014gステージには幅広のセロテープを貼りました。ミクロワールドサービスのJシリーズを紹介する時など、大切なプレパラートの裏面に傷つけないようにするためには必要な作業です。
(前から知っていましたがようやく作業しました)

20161014hLEDに合わせて電池は006Pを使うことにしているのですが電池ボックスはオンオフ機能付のものを本体に固定してコンパクト化を図りました。

偏光観察には専用の接眼レンズを決めて偏光フィルターを組み込みました。観察時の視野周辺もきれいに見えるようになりました。

【そろそろキメラスコープの限界が…?】

どんな顕微鏡でも手間隙&お金をかければ性能はアップしますが、そうは言っても限界はあるものです。
大雑把な言い方ですが、最高級顕微鏡を100点、そこそこの研究レベルで使われているものを80点、教育現場の顕微鏡(小中学校の言い訳のようなもの)を40点とするなら、キメラスコープは理科系大学の実習機と並んで60点のレベルと言うことができるでしょう。
そして顕微鏡の知識を習得してカスタマイズすれば極めて安価に80点レベルかそれ以上のものができるかと思います。
顕微鏡の性能追求に興味のある方は是非ともこの方向で進んでいただきたい反面、生きものをはじめ微細な構造の観察や発見を重視される方は工作に費やす時間を減らし、少々高額でもきちんとした顕微鏡を購入して観察の時間に当てられることをお薦めします。