【テスト対策?】学校で教えられる間違ったこと

私は顕微鏡ユーザーで自分がよりよいと思える像を追っています。そこには決められた基本操作があります。
ところが学校などではまったく違うことを教えていることがあります。まあ許せるものもありますが本気で顕微鏡を使おうという可能性のある未経験者には迷惑な話もあるので気づいたことをピックアップしてみます。(2023.10.1〜)

【顕微鏡はステージの反対側から覗く:被害度・中】

なぜか「顕微鏡はアームを挟んでステージの反対側から覗く」と教える人がいます。
かつて小学校で使うほぼすべての顕微鏡はステージ下のミラーから光を取り込むタイプでした。それなら自分のからだがじゃまして陰にならないようにする必要がありました。
ところが最近では照明の多くは顕微鏡本体に内蔵されているものになっています。この場合はプレパラートを操作しやすい方向から見るのが人としてあるべき姿でしょう。
物事の本質を考えて指導して欲しいものです。

【コンデンサーで明るさ調整する:被害度・大】

何をバカなと思ってネットで調べてみたら大手教育関連会社が「コンデンサーで明るさを調整する」と解説していました。他にも多数同じように書かれているのでこれが基準となっているのでしょうか? テストに出たらそう答えるのが正解とされるのでしょう。
コンデンサーには絞りがついていてこの開閉により対象に対する照射角が変わります。これに連動して解像度や被写界深度が変わるので真の顕微鏡ユーザーはこの見え方の違いを自分の観察に活かします。
明るさについては調整可能な光源を利用したり明るすぎればフィルターを使って減光します。

【コンデンサーの絞りは対物レンズの開口数の約0.7倍程度:被害度・小】

先からつながるようなお話です。私が本格的に顕微鏡を使い始めてから30年ほど経った2015年のこと。とある理科系大学の基礎実習を見学させていただく機会がありました。そこに来ていたメーカーさんが「コンデンサーの絞りは対物レンズの開口数の6から7割くらいのところに合わせてください」と説明していました。
基本はそうだとしても中にはそれしかダメと思う学生もいるはず。やはり「ここを基準に絞りを開け閉めしてみてください」の補足説明が欲しいですね。

【倍率を上げる時はレボルバーをそのまま回す?:被害度大〜なし】

顕微鏡で倍率を上げる時はレボルバーを回してより倍率の高い対物レンズに変えていきます。私たちが普通に使っている顕微鏡ではフォーカスを操作せずに回すのですが小学校などで使っている顕微鏡って大丈夫なんですかね? 私も小学校の顕微鏡を使っての指導をすることがありますが「40倍にする時は必ず横から見ること!」としています。
教育現場では顕微鏡なんてどうでもいい機器の1つで教員はもちろん教育委員会なんて安けりゃいいやの世界のようです。日本顕微鏡工業会にも所属しているメーカーならそれなりの基準があると思いますが(それでも問題がありますが)、そこに所属しないおもちゃ屋さんの顕微鏡でも購入できるそうです。4倍から10倍ならレンズ先端が当たることはまずないと思いますが40倍は怪しいです。サンプルを作りやすいとホールグラスを使ってカバーガラスを割った例もあったかと思います。
また自発的にレンズを下げる子供もいます。倍率が上がると何も見えないところからフォーカスを合わせるのは結構難しくこれが理由で顕微鏡を嫌いにならないで欲しいものです。

【余談:某お嬢様学校の顕微鏡】

その昔、理科教材を作るにあたり現場の話を聞こうと某お嬢様学校の先生を紹介されたことがありました。たまたま近くに顕微鏡が置いてあったのですがこれが理科系大学の実習用も真っ青なきちんとしたもの。オマケにきちんと整備されていました。
逆に卒業生が小学校の先生になったら顕微鏡授業のデビュー戦でいきなり壊す生徒が出てくるかもです。