顕微鏡の使い方としてものの置き方とフォーカス合わせについて説明してきました。逆に言えばプレパラートを作るときはこの条件にあった形に作ることがポイントになります。(2019.8.15)
【ものを動かないようにする】
例えば大きさ1ミリのものを拡大するとします。これがステージの上で1ミリずれれば視野から外れていくことになります。じっくり観察したいときにはものの大きさに合わせて動かないようにいかに固定することがポイントになります。
例えばミジンコでは水を減らして泳げないようにします。
ゾウリムシではよく運動抑制剤としてネバネバした液を使うこともあります(これは毒性もあるのでできれば使いたくないのですが)。
ミジンコを使った具体例はこちら
【画面全体にフォーカスを合わせるには①:平らに押しつける】
顕微鏡ではフォーカスの合う面が限られています。立体的なものは一部分にしかフォーカスが合わず全体を同時にシャープに見られないことがあります。
例えば買ってきたプレパラートと同じ花粉や虫の羽などを見ているのに自分の作ったものはよく見えないということがあるかもしれません。理由の1つはカバーガラスでしっかりと押さえられているかどうかです。
プレパラートを横から見て曲がっていたらもう怪しいです。カバーガラスをかけてそっと押えできるだけ平らにしておきましょう。
オオカナダモを使った具体例はこちら
【画面全体にフォーカスを合わせるには②:薄くする】
これは池の水の中の生き物を見る時に言えることです。水の量が多いとフォーカスが合わずにボケて見えるものが多くなります。できれば水の量を減らします。
ただし水の量を減らすと中の生き物も減ってしまいます。生き物の数を減らさずに水の量を減らすにはどうすればよいか。そんなことを考えて工夫するのも顕微鏡観察の重要なポイントです。
【画面全体にフォーカスを合わせるには③:厚いものは薄く切る、はがす】
本には植物の細胞の写真も出ているでしょう。木の葉や野菜の断面などです。試しにキュウリを切って見てみましょう。何だかごちゃごちゃしていてよく見えないとすればたぶん厚いためでしょう。細胞が何層にも重なっているとじゃまになってよく見えません。どうすれば薄く切れるかを考えましょう。
教科書によく出てくる顕微鏡写真の1つがツユクサの気孔です。植物が空気を吸ったり吐いたりする出入口です。これもツユクサの葉をそのままステージにのせて見たのでは何だかわかりません。表面の皮を剥がして見ることで細かいところまで見ることができるのです。
これらのプレパラートの作り方は中級編で紹介します。