世の中進歩しているのですからたいていの機械は新しい方が良いに決まっています。でも必ずしもそうでないことがあるもので、顕微鏡も例外ではありません。古い顕微鏡の何がよいのか少し書いてみたいと思います。
(2020.5.00)
【顕微鏡の性能は100年前のレベルで十分】
顕微鏡の詳しい歴史は日本顕微鏡工業会のホームページなどにお任せしますが、顕微鏡の光学理論は1800年代にはすでにかなりのレベルに達していました。もちろん現在の最高級機が当時のものに負けることはありませんが、そんなお高い顕微鏡買いませんよね? 現在の中級機(?)なら話は別です。
逆に当時のきちんとしたものはプレミアがついていて高価だったりもするのですが…。
【新しいものの方が壊れやすい?】
自動車産業も技術革新が目覚ましいのは明らかなこと。でも一方でわざわざ壊れるように作られていると言われています。メーカーとしては修理するのではなく新車を売りたいからです。
顕微鏡にも同じような状況があるようです。最先端研究に使われるような1台で数百万円するものではより厳密な機械精度で作られるようですが、一般的なものでは性能よりコスト重視。レンズは自国生産でもボディやパーツは人件費の安い他国製ってなこともあります。
【顕微鏡の中古良品は長持ちする】
レンズはガラスなので傷やカビに弱く一度ダメにしてしまうと元には戻りませんが、きちんと整備されていれば=というか余程雑に扱っていなければ古いものでも十分に使えます。
それに対してボディは金属なので元が良ければ余程のことがない限り人間よりよほど長持ちします。これは「ボディについて」でもう少し詳しくお話ししましょう。
その好例がツァイスの顕微鏡。秋山実さんはこれを写真集「マイクロスコープ 浜野コレクションに見る顕微鏡の歩み」として出版もされています。
【中古品は安い! 私の顕微鏡も中古品ばかり】
同じ性能なら値段が安いに越したことはありません。このページを書いてわが身を振り返ると、実体顕微鏡は2度新品を買ったのですが顕微鏡は1台も新品で買ったことがありません。それ以前に新品価格では買えません。それどころか買い足したレンズ、コンデンサーなどすべて中古です。大切なのは信頼のおける販売店で買うということでしょうか。オークションにも手を出していますが結構やられています。
【古いものは部品が手に入らない、新しいものは高くて手に入らない】
すでに生産が終わったものは部品を見つけるのが一苦労です。
また新しいものを一から買い直すのではお金がいくらあっても足りません。悩ましいところです。