最近顕微鏡を購入して観察を始めたという方からスケールについて聞かれました。一般的には顕微鏡で対象の大きさを測ると言えば対物&接眼ミクロメーターを使う方法が紹介されますがそれを実行している人なんて一人も知りません。私は常にモニターを使うのでここではカメラを使う測定法を紹介します。(2023.8.3〜)
【もちろんカメラの固定が前提で】
顕微鏡、レンズ、カメラの組み合わせが決まれば拡大率は常に一定となります。一度基準を作っておけばサイズの確認は容易です。
顕微鏡では投影レンズからのカメラ距離を変えることで撮影倍率を変えることもできるのですが邪道なのでここではやらないお約束とします。
【準備:対物ミクロメーターを撮影する】
まずは基準となる対物ミクロメーターを撮影します。これはスライドガラスの中央1ミリに対して等間隔の100本の線が刻まれたものです。
対物ミクロメーターは一度撮影すればいいものなので各自が購入しなくてもいいでしょう。誰か貸してくれる人がいるといいですね。透き通った定規を使って1ミリ幅が確かめられればそれもありでしょう。おおよそでよければレンズの倍率を信じて測定していないレンズは計算は計算で済ませることもできるでしょう。
【自作の定規を使ってモニター上で計測】
以前取材させていただいた琵琶湖環境科学研究センターの一瀬諭さんは長年に渡って琵琶湖のプランクトンを調査し続けてきたスペシャリスト。観察機材や方法を確立されており自身の機材に合わせた物差しを自作されていました。
【メモor対物ミクロメーターの後づけ撮影】
私は普段はあまり考えずに撮影していますが「これは間違えてはいけない」という時はキチンとメモをとるか、続けて対物ミクロメーターを撮影しておきます。
AxioPlanのクランプはスライドガラスを2枚セットできるので常に奥には対物ミクロメーターをセットしています。これでサンプル撮影後にスライドさせるだけで対物ミクロメーターを撮影することが容易になっているだけでなく使用後はコンデンサーフロントレンズの埃よけとなります。スケールチェック時にゴミが気になるようになったら拭くことにしています。
【フォトショップで合成するのもあり】
私は普段使う顕微鏡、レンズ、カメラの組み合わせごとに撮影して、フォトショップを使って白と黒のバーを作ってあります。もちろん背景は透明です。
必要に応じて撮影画像にこれを重ねることでリサイズ、トリミングなどしてもスケールは維持されます。