一時追記:マイクロフォーサーズのメリット

今年になって「自社開発のCマウントカメラを顕微鏡撮影に試したい」というリクエストをいただきました。ちなみに先方にあるのはカメラだけで顕微鏡とアダプタはこちらが持ち込むという条件です。
かつてのアナログ放送時代には私も顕微鏡撮影にCマウントカメラを使っていましたが2008年に発売されたEOS5DM2に乗り換えてからはほとんど使ったことはないでしょうか。久しぶりに使ったCマウントカメラはセンサーサイズが極端に小さくて…と苦労しながらの撮影でした。
最近ではLumixGH7を購入してページも作ったのですが改めて見直すと「これで写せる顕微鏡」の記述は不十分ですね。本来は全面改定すべきところですがそんな余裕はないので応急処置をしてみます。
厳密に調べ上げての情報ではありませんが大まかなところは間違っていないはずなので軽い読み物としてください。(2025.3.31〜)

【顕微鏡の光学系=対物レンズ×接眼レンズ】

顕微鏡は対物レンズで拡大像=一次像(中間像)を作り、接眼レンズでさらに拡大して観察する道具です。
接眼レンズには「視野数」の表記がありますがこれは見ることのできる一次像の直径(mm)を示します。私が知る限りの最大値は「26」なのですがここから考えられるのは実際に対物レンズが作る一次像はせいぜいこれよりちょっと大きい程度に限られるであろうということです。(個々に確かめてはおりません)

【撮影光路には投影レンズ:フィルムサイズに合わせるためには要拡大】

三眼鏡筒では観察用の双眼の他にカメラ用の光路があります。撮影時にはここにアダプタをつなぐのですが投影レンズ(接眼レンズで代用する場合もあり?)なるものを入れてカメラのセンサー(かつてはフィルム面)に像を結ばせます。
かつて最も使われた一眼レフカメラのライカ版フィルムサイズは36×24ミリです。26ミリより少し大きいくらいの一時像ではフィルム面周辺の一次像の外側は黒くなります。これを「ケラれ」と言います。そこで投影レンズを使って一次像を拡大し中央部分だけを撮影するという考えです。

【ビデオカメラのセンサーサイズは? 投影レンズ不要!】

ビデオカメラではセンサーに像を結ばせることになりますが、センサーサイズは様々です。現在では「フルサイズ」と呼ばれる機種も増えていますがかつてはもっと小さいものが使われていました。
業務用と呼ばれるカメラでは「1インチ」は大きい方で「2/3」「1/2」やご家庭用なら「1/3」という感じです。
さてフィルム撮影では一次像のサイズ不足が問題でしたがビデオカメラのセンサーサイズであれば投影レンズを使わなくても「ケラれ」はありません。そこで「Cマウントアダプター」なるものを作られて投影レンズなしでの撮影も行われていたのです。

【マイクロフォーサーズならこれに対応可!】

では現在のミラーレス一眼に使われているセンサーサイズを見てみます。「マイクロフォーサーズ=17.3×13mm」「APS-C(メーカーにより複数規格ありの小さい方)=22.3×14.9mm」ですが
対角線はそれぞれ「21.6mm」「26.8mm」となります。実際に一次像の位置にカメラを置いてみるとマイクロフォーサーズではケラれませんがAPS-Cではケラれてしまうことを経験しています。
ちなみに古い接眼レンズは視野数の小さなものもあります。私が使っている対物レンズはマイクロフォーサーズのセンサーサイズに十分ですがものによっては一次像がより小さなものがあるかもしれません。

【コンペン(セーション)が問題に】

一次像の利用にはちょっとした問題があります。それは色収差の問題です。詳細は別に譲りますが、プリズムが虹を作るようにレンズという曲面を通った光は色=波長によって屈折率が異なります。すなわち1つの点から出た光は1点に集まらず滲んだ像になるということです。
その解決策の1つがコンペンゼーションという考え方です。対物レンズで出た色の滲みを接眼レンズで元に戻すというもので多くの顕微鏡ではこの技術が採用してきました。この組み合わせはレンズごとに変わってくるので同じメーカーの同じシリーズの対物&接眼レンズを組み合わせる必要があります。
したがって一次像のセンサーサイズの問題は解決されても色の問題が残るのです。

【CFレンズと無限遠光学系】

顕微鏡にはCFと表記されたものがありますがこれは「Chromatic Aberration Free」の略で訳すと「色収差なし」を意味します。CF対物レンズは単体で色の問題を解決しているということです。この一次像であれば色の滲みがなくそのまま撮影に使えることになります。当然のことながら接眼レンズもCFタイプです。
ちなみにここまではRMS規格の有限系と呼ばれる顕微鏡のお話しです。
現在の高級機種の多くは無限遠光学系が採用されています。RMS規格では対物レンズと接眼レンズの間の長さが決められていましたが無限系の目的はそれを外し間を長く取ることで各種フィルターを入れやすくするためCFであることが前提となるはずです。と思ってあるメーカーの方に聞いてみたところ「CFと書いてなくてもCFのはずです」とのことでした。

【私の顕微鏡も】

私がこの話を聞いたのは2015年くらいだったかと思いますが同じ頃に古い顕微鏡のメリットも知りました。
フルサイズが撮影できるシステムでは一次像の周辺をあまり使っていないような印象があるのですが(機種にもよるので確かめてませんが)マイクロフォーサーズカメラを使うとさらにその中央部だけを撮影することになります。拡大には便利な反面広い範囲を撮影することができません。その意味では投影レンズを使わないこの直焦点法には大きなメリットを感じています。